ニューヨークでお店を開きたい、あるいは新規事業のためにオフィスを借りたいと考えたとき、ビジネスを成功させる上で商業物件のリース契約は非常に重要です。
この記事は店舗物件が入居しているビル自体に対するプロパティタックスの上昇について注意を喚起する内容なのですが、商業物件のリースについて考えるための良い事例ですのでご紹介したいと思います。
記事内で最初に取り上げている店舗は3つあったお店のうち、ウィリアムズバーグ店はレントの上昇が理由で、またフラットアイロンにあった店は税金負担の上昇で閉店を余儀なくされたという話です。
店舗ビジネスを行う場合、賃料というのは事業経費の中で最も大きなものの一つであると共に、人件費などとは異なり一旦契約してしまうと調整することができず、売上の多寡に関わらず払い続けなければならない固定費です。
特に、商業物件の契約で一般的なトリプルネット契約の場合、ビルディング全体にかかる税金の割当分は賃料とは別に負担する必要がありますので注意が必要であり、このことを事業計画に入れておかないと、記事の店のように事業継続が難しくなるという状況を招いてしまいます。
この記事では、店側がまるでそのことを予想不可能な問題であるかのうように書かれていますが、本当にそうだったのでしょうか?少し気になって、この記事にあるフラットアイロンの店舗について調べて計算してみました。
まず、彼らが契約を行った2012年から現在までの税金の年間平均上昇率は約14%でした。しかし、実はこの数字は、店舗契約を行う前である2005年から2012年までのこのビルの税金の年間平均上昇率とほぼ同じパーセンテージでした。
しかも、2012年以降の今年までの最高上昇率は28%であるのに対し、2012年以前には年間上昇率が31%という年もあったことがわかりました。
もちろんこれらの情報は全て、彼らが2012年にリース契約を行う時点で調べればわかる情報であり、店舗リースの契約前に、この物件の税金負担部分は、過去の実績から少なくとも毎年平均14%は上昇していくということは容易に予想できたはずなわけです。
この店舗のオーナーが店舗契約の前のリサーチを怠ったのか、そのことがわかっていて契約をしたのかはわかりませんが、このことを事前に知っているかいないかで、店舗リースの契約内容のネゴシエーションの方法や内容は変わってきますし、他の店舗物件との比較や事業計画や出店計画の見直しも可能だったはずです。
事業の成功をイメージしながら、オフィスや店舗物件を探すのは楽しいものですが、事前に知ることができたリスクを知らずに契約をして後悔をしないよう、商業物件リースの契約時にはくれぐれもしっかりとしたリサーチを行い、必ず商業物件リース専門の弁護士(不動産エージェントではなく不動産弁護士の仕事になります)による契約内容の精査とネゴシエーションを怠ることなくすすめることが大切です。