最近頂いたお問い合わせの中に、偶然にも共同購入に関するものが数件ありましたので、今回は不動産の共同購入について少しお話をしたいと思います。

不動産価格が高額であるニューヨークでは、物件の共同購入を検討したいというアイデアは珍しくありません。

私自身も年に数回は共同購入をしたいという方からの相談を受けますが、共同購入を実際に実施したという事例は、実は家族・親族同士によるものを除くとあまり多くはなく、逆に既に共同購入をしたという方からのご相談は、トラブルに対するものであることが多いのが実情です。

なぜ共同購入にはトラブルが多いのでしょうか?

共同購入の目的と方法
不動産の共同購入を行う場合の目的として最も多いのが物件購入コストの低減です。一人では高額となってしまう不動産購入コストを共同出資という形で低減し、また複数の出資者が資金を出し合うことにより、一人では購入できない大型の物件の購入が可能になります。

購入コストの低減を目的とした共同購入の場合、(1)投資用物件を共同購入しプロフィットをそれぞれのオーナーに分配する方法、もしくは(2)マルチファミリハウスを共同購入することで、それぞれのユニットにそれぞれの購入メンバーが居住する方法、のどちらかによる共同購入が一般的です。前者は投資目的の物件、後者は居住目的の物件となります。

コストの低減以外を目的とした共同購入には、共通の考え方や嗜好の人々を集め共に暮らしたい、というような場合があります。この場合には、前述の2つの方法ではなく、(3)マルチユニットビルディングの共同購入を行いコープにコンバートする方法などが一般的です。

(1)と(2)は、足りない資金をお互いで補うために行われる共同購入の方法であり、(3)は一緒に暮らすことを主たる目的とした共同購入といえます。

共同購入によるトラブル
それでは何が原因で共同購入によるトラブルが起こるのでしょうか?

まず、前述の3種類の共同購入の中で、トラブルが最も少ないのは(3)のマルチユニットビルディングを共同購入してコープにコンバートする方法であり、次にトラブルが少ないのが(1)の投資用物件を共同購入しプロフィットを分配する方法となります。

というのも、(3)と(1)の共同購入に際しては、多くの場合、トラブルを未然に防ぐために、想定されるあらゆる事項が予め契約書などにより明文化されているからです。

特に(3)の場合、ニューヨークには数多くのコープコンバージョンの事例があり、ある程度スタンダードな方法が確立されているため、将来起こるであろう殆どのシチュエーションについて予め明文化しておくことが可能です。そのため結果トラブルは少なくなるというわけです。

(3)と比べると(1)の投資物件に関しては、例えば規模が小さい場合、契約書による明文化を怠ったり、あるいは共同購入メンバーの地位が不平等な場合にはトラブルが起こりやすくなるため注意が必要です。

共同購入メンバーの地位が不平等というのは、例えば、法的な知識や経験のある中心人物が物件と契約書を用意して、それを投資案件として共同購入者を募るような場合、この人物が自分だけに都合の良い契約書を作っているような場合を指します。

私募リートなども含めこのような状況に起因するトラブルは多いのですが、知らずに契約書にサインをしてしまった場合には後の祭りとなってしまうため、弁護士を使い契約書を事前に精査することが重要です。

もちろん共同出資による投資案件であっても、出資者全員が納得できるしっかりとした契約書を作り購入・運営・売却を行うことで、トラブルの少ない共同購入を実現することは可能です。

そして、3つの方法の中で最もトラブルが多いのが(2)の、マルチファミリーハウスなどの住宅物件を共同購入し、それぞれのユニットに共同購入者が実際い住む場合になります。

次回はこのマルチファミリーなどの住宅物件を共同購入した場合のトラブルについてより詳しくお話したいと思います。

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