新年明けましておめでとうございます。

2021年も難しい状況が続くことが予想されますが、皆様の一層のご健康を心よりお祈り申し上げます。また、本年も何卒よろしくお願いいたします。

さて、昨年の5月のポスト以来となります。ご存じの通りCOVIDへの対応は一進一退の状況が続いておりますが、米国ではワクチンの接種がスタートし、一般国民への接種は初夏頃が予想されております。

昨年は大統領選も行われ、未来への変化と混沌が交錯しているような状況の米国ですが、5月以降現在に至るまでのニューヨークの不動産マーケットでは大きく3つの傾向が顕著になっています。

全く動かないレンタルマーケット

現在NYC全体でテナントを募集している空き室は、3万5千以上という空前の数字になっています。このうちの約2万室がマンハッタンとなっており、レンタルマーケットは完全に供給過多の状態です。

このためレンタル物件にテナントをつけるためにはこれまでのマーケットレントと比べ2割以上低い価格をつけ、さらに不動産仲介手数料はランドロード(大家)が全て支払うという状態になっています。

もちろんこのような状況を逆手にとり、同じレントでより広い物件を借りたり、クイーンズからマンハッタンへの引っ越しを行う人々も多少はいるものの、二桁台となっている失業率があらわすように経済面における不安感は非常に強く、多くの人々が引っ越しを控えている状態にあり、現在のレンタルマーケットでは、レントを下げてもテナントがつかないという状況が続いています。

滞納賃料に対する政府援助や各種バウチャーによる賃料援助がNYCの賃貸マーケットでどの程度機能するかは疑わしく、経済力のあるテナントにとって非常に魅力的なマーケットになっている反面、ランドロードとにとっては厳しい状況が続いているのが現在のNYCのレンタルマーケットです。

私自身もCOVIDに入ってから何人ものランドロードの方に依頼され、テナント探しをお手伝いをしましたが、全て成約となったものの、どの物件もこれまでより賃料をかなり下げての成約となっています。

ラグジュアリーマーケット

レンタルマーケット同様、ラグジュアリーマーケット(ニューデベロップメントを中心とした高額のコンドミニアム)も鈍い動きとなっています。

まずマンハッタンですが、物件価格4M以上のラグジュアリー物件を見た場合、床面積当たりの価格はピークであった$3,300/SF(2019年第二四半期)から$2,500/SFにまで落ちており、物件売買数も同期の35%にまで下がっている状況です。

ブルックリンのラグジュアリーマーケット(2.5M以上)については2018年の第一四半期に床面積辺りの価格が$1800/SF前後でピークとなり、その後第四四半期に一気に$1428/SFにまで価格が落ちました。その後床面積辺りの価格は少し持ち直したものの、現在は$1,645/SFとなっており、マンハッタンほどの下げ幅ではないものの苦戦している状況です。

しかし、もちろんこれは購入する側にとっては非常によい状況です。2018年よりも明らかに価格がこなれている上、これまでラグジュアリーマーケットに流れ込んでいた海外からの投資マネーが現在はほとんど動いていないため、モーゲージの利用も含め、購入が可能なバイヤーにとってはチャンスであると言えます。

一般の自宅購入マーケット

ラグジュアリーマーケットがスローダウンしている中、実は一般の自宅用購入不動産のマーケットは比較的活発に動いています。

理由の一つは、COVIDにより、賃貸で住んでいることのリスクに多くの人が気がついたということが挙げられます。

現在お手伝いさせていただいているバイヤーの何名かの方からも、これまでも購入を考えたが、COVIDの状況が続き、マイホームの購入を決断したというお話をいただきました。なぜ購入の方がリスクが低いかについては長くなってしまいますので割愛しますが、これからの生活を守るために、賃貸より購入を選択するというわけです。

そして、そしてもう一つの理由は、歴史的な低金利です。

現在NYCのモーゲージレートは30年固定の実質金利で2%台後半となっています。これは具体的にどのような数字かと言えば、例えば1Mの物件を250Kの頭金で購入する場合、2018年に4.8%であった金利では、毎月の支払いが$3,935となりますが、現在の2.8%という金利では、毎月の支払いが$3,082になり、実に就き853ドルも節約できることになります。また、金利支払総額も300K以上軽減されます。

これに加え、COVIDの影響により絶対的なバイヤーの総数は減っていることから、買い手市場が続いており、もちろん安定した収入と頭金に必要な資産があることが前提とはなるものの、初めてのマイホームを購入する人にとっては非常に大きなチャンスとなっています。

ただ、注意が必要なのは、このような状況ですので、値頃感がある物件には複数オファーが入ることもあり、誰もが簡単に購入できるとは限らないということです。実際、私自身が売り出しが物件のいくつかにも複数のオファーが入り、ビッディング・ウォーの状態となりました。

ですので、価格のネゴシエーションや決断の見極めなどについては、物件ごとに注意が必要であり、日々変化するマーケットの状況を理解し、しっかりと計画の上、交渉していく必要があります。

ご参考までに、現在のマンハッタン4M以下の物件の床面積当たりの価格は$1,436/SF、また、ブルックリンの2.5M以下の物件の床面積当たりの平均価格は$981/SFとなっています。

ということで、現在のニューヨークの不動産マーケットにおける大きな3つの傾向についてまとめてみましたが、これまで何度も書いてきたとおり、ニューヨークの不動産はローカルマーケットが非常に重要であり、同じマンハッタンやブルックリンでも、エリアと物件タイプによって動きが全く異なってきますので、これらはあくまでNYC全体の傾向ということでご理解いただければと思います。

まだまだCOVIDにより難しい状況が続きますが、ご自宅のご購入を行うには非常によい時期となっておりますので、ご購入をお考えの方はもちろんのこと、話だけでも聞いてみたいという方はいつでもご相談ください。

また、COVIDがスタートしてから、物件のご売却についてのご相談も多くいただいております。物件のご売却については、その方法も含め数年前とはかなり状況が変わっておりますので、ご売却をお考えの方も是非、ご連絡をいただければと思います。

本年も、ニューヨークでの不動産のご購入、ご売却、テナントさん探しについて、少しでも皆様のお役に立てますよう、誠心誠意お手伝いさせていただきますので、何卒よろしくお願い致します。