昨日は久しぶりの雪となりましたが、今朝はよく晴れ、天気予報を見ても今週は暖かい日が続きそうなニューヨークです。先週は子供たちが1週間冬休みだったため、今シーズン最後のスキーに行ってたのですが、NYCから車で3時間ほど北上したCatskill Region ではタイミングよく雪が降ってくれたこともあり、まずまずのコンディションでスキーが楽しめました。

さて、今年に入ってから何名かの方からマイホームを購入するタイミングについての質問を受けました。

ここ1年ほどで、インフレ抑制のための金利上昇により、モーゲージ(住宅ローン)金利の上昇も進み、結果としてバイヤーの買い控えが起こったものの、ニューヨーク不動産の物件価格はそれほど大きくは崩れていません。これは1つには、売りに出される物件の多くに数年前の低金利ローンが使用されていることが原因です。

例えば売却後に次の家を買わなければならないセラーにとっては、現在3%の自宅のモーゲージが売却後に購入する家ではおおよそ倍の金利になってしまうわけであり、わざわざ低金利のメリットを手放してまで売り急いだり、価格交渉に応じようという気持ちが低い状態なわけです。多くのセラーが「そんな価格でしか売れないんだったら売らない」という心理状態にあります。

その意味では現在はバイヤーにとって価格交渉のしづらい難しいマーケットであると言えますが、購入しないでしばらく待つというのは、モーゲージ金利が下がりはじめて、マーケットに多くのバイヤーが流れ込むことで物件価格が再び上昇していくリスクがあるため、待たなければならない理由が他にない限り、あまりお勧めではありません。

ニューヨークの不動産マーケットで物件価格が大きく下がることは殆どありませんが、現在よりも金利が下がることはありえます。その意味では、マイホームが買いたいと思ったら、マーケットに合わせた準備をしっかりと行った上で、できるだけはやいタイミングで購入し、その後金利が下がったらリファイナンスするのが現在のマーケットでは得策ではないかと思います。

ご参考までに以下がFRED (Federal Reserve Economic Data) によるニューヨークのコンドミニアム価格の推移になります。

NYCにおけるコンドミニアム価格の推移

さて、それではマイホームを前提とした場合、現在のマーケットではどのような物件の購入が可能なのでしょうか。価格帯ごとの状況を見てみたいと思います。

500K以下の価格帯

いわゆるスターターホームの価格帯となりますが、この価格帯の物件がスターターホームと呼ばれる理由は、価格から逆算した購入者世帯収入と必要なダウンペイメント(頭金)の額に起因しています。

ダウンペイメントはマイホーム購入時の最初のハードルとも言えますが、500Kの物件の場合、ダウンペイメントは購入価格の20%である100Kですみます。最初のマイホーム購入の際には両親などから資金支援を受けることは非常に一般的ですが、例えば自己資金として50K、両親から50Kを借り受けるというのは、マイホーム購入を考える多くのバイヤーにとって現実的な数字であると言えます。

また例えばモーゲージの金利を6%として考えた場合、世帯収入が100Kあると約400Kのモーゲージを使用する事が可能であり、ダウンペイメントと合わせて500Kの物件(但し購入により多くの現金が必要となるコープは除きます)の購入が可能となるわけです。

具体的な物件を見てみると、毎月の管理費と税金が極端に高い(1000ドル以上)の物件を除くと、500K以下のコンドミニアムはマンハッタンには約30件、ブルックリンには約80件、クイーンズには約50件が売りに出されています。

物件の中身は、マンハッタンでは殆どがスタジオアパートメント、ブルックリン・クイーンズではその多くが1ベッドルームとなり、エリアによって若干2ベッドルームが混ざっているという状況となります。

マンハッタン・ブルックリン・クイーンズ
マンハッタン・ブルックリン・クイーンズで売り出されている500K以下のコンドミニアム(2023年3月1日現在)

500K-800Kの価格帯

最初のマイホームとして購入を検討している方だけではなく、現在所有している物件を売却しての買い換えを検討している方も含まれはじめる価格帯となります。

モーゲージを使い800Kの物件を購入するための必要条件は、160K(20%)のダウンペイメントと約165Kの世帯年収となりますが、買い換えの場合には自宅を売却することで現金資金が増えますので、ダウンペイメントを積み増しすることが可能になり、モーゲージ額が下がるため、結果として必要な世帯年収は大きく下がることになります。

また、物件についても複数のレイヤーがオーバラップする価格帯です。プライムロケーションをベースに考えると1ベッドルームが中心の価格帯ではありますが、物件自体のクオリティや高級度合いが高い物件からエリアやサイズによっては2ベッドルームが見つかる価格帯でもあります。

具体的にはマンハッタンに約160件(2ベッドルーム以上は20件)、ブルックリンに約280件(2ベッドルーム以上は120件)、クイーンズに約300件(2ベッドルーム以上は125件)の物件がリスティングされています。

ただし感覚的には、この価格帯で2ベッドルームのコンドミニアムを選択した場合、エリア、建物のクオリティ、サイズなど、何らかのファクターにおいて妥協が必要な物件が多い傾向にあります。

そのこともあり、広さや間取りを優先する場合、500-800Kというのは、コンドミニアムではなくコープの購入が現実的になる価格帯でもあります。もろんコンドではなくコープを考えるというのはどの価格帯においても言えることではありますが、コープの購入はコンドにくらべてより多くの現金資金が必要である上、モーゲージ使用におけるフレキシビリティが制限されてしまうため準備には注意が必要です。

次回は800K以上の価格帯について見ていきたいと思います。