とうとう 421a Tax Abatementの法案が合意に至らないまま期限切れとなりました。
421a Tax Abatementはニューヨークの不動産を語る上で欠かすことの出来ない大きな存在であり、いい意味でも悪い意味でもニューヨーク経済のコアともいえる不動産マーケットを動かす原動力となってきました。
ご存知だと思いますが現在の市長は、新規住宅開発を行うデベロッパー(結果として物件購入者)に対する税控除である421a Tax Abatementに対し、税控除を得るためには開発内に一定の割合でAffordable Housingを入れなければいけないというルールを半ば強引に導入しました。
結果として近年では、421a Tax Abatementは、ニューデベロップメントを促進するだけではなく、市長の掲げるAffordable Housing政策を実質的に前に進める役割もになってきたわけです。
ただし、当のデベロッパーからは「そんなことをしたら利益が圧迫される」と、またAffordable Housing推進派からは「そんなことをしても結局開発されたエリアは価格が高騰し庶民を締め出す結果になる」となどの不満が出ていました。
そして最終的に「開発に関わる労働者の最低賃金保証がないと法案を通さない」と言っていた知事、つまりAlbanyとの交渉も物別れになったというわけです。
421a Tax Abatementは色々な意味でニューヨーク不動産マーケットに与える影響が大きいだけに今後の動向には注意が必要です。